Diabolus ex machina

diabolus ex machina
ディアボルス・エクス・マキナ=「機械仕掛けの悪魔」という意味のラテン語。

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2013.01.10 Thursday

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人形式モナリザ

2007.10.26 Friday 04:45
「人形式モナリザ」(森博嗣)を読みました。

冒頭の方に特に印象に残る部分があって、読み終わった後も、そこの部分のことが一番頭の中に残っていました。
人形について、非常に簡潔で明瞭に記述された部分です。

「現在、最高の人形とはコンピュータである。」(44ページ)
という文章です。
その理由を「人にもっとも近い機械だから」と述べています。

非常にわかりやすい、素敵な文章です。
読んだ瞬間、反応していました。
しばらくの間、そこで読むのをやめ、そういう考え方もあるのかと色々と考えていました。
私自身は、人形に対して違う考えを持っています。
人に似せること、人に近づくことが最高の人形を作るということではないだろうと考えているので、違う価値観に触れて、思うところがあったわけです。

人それぞれに異なる「人形観」があっていいと思います。
私自身は人形とは人間に似せられて作られながら、人間が持ち得ないものを体現させようとする存在だと思っています。
それは「理想の人間像」かもしれません。
あるいは「究極の美」かもしれません。
「死」を封じ込めた人形というものもあります。その人形は「死体」でありながら、腐敗することがなく、まるで眠っているような表情で長い年月、そこに居続けるわけです。
美しい姿のままで。
本物の人間の死体でも、薬品などによって防腐処理を行うことで似たようなことは出来るかもしれませんが、私はそうした死体と死を封じ込めたと言われる人形では、何かが違う気がしています。
ミケランジェロの「ピエタ像」(大理石の彫刻)を人形と呼ぶのはどうかという考えもあるかも知れませんが、私が人形に対して持っているイメージに最も近いものはミケランジェロの「ピエタ像」です。

そういうわけで「人形式モナリザ」という作品における森博嗣と私とでは人形観が大きく違っていたのですが、このことが意外と影響が大きかったようで、歯車がうまくかみ合わないというのか、うまく作品に入り込むことができませんでした。
犯人もトリックも見破ることができず、真相を知ったときは、正直言うとものすごく残念な気持ちになりました。

この作品、かなりカッコイイです。
最後の最後のほうになってそう思いました。
ネタバレはしませんが、個人的にはトリックがかなり好きです。
それと、あとで考えると、いくつか起こる事件のどれもが、じっくり考えたら自分で解決できる範囲のトリックというか、難易度だったように思うので、それも含めて作品に入り込めなかったことが本当に悔しいです。
まあ、読んだ後なら誰でも言えることですが・・・
自力で謎を解きたかったです。

あと、個人的には「モナリザ」は蛇足っぽかったというか。
作品を読んだ印象として、江尻駿火(作中に登場する芸術家)が最後に残す作品としてはいかがなものか? と正直言うと思いました。
まあ、人間なんていつ死ぬかわからないので、最後の作品がどの作品になるかなんてわからないわけですが。
モーツァルトの「レクイエム」や宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」、安部公房の「飛ぶ男」など、パッと思い浮かぶ未完成ながら遺作が素晴らしい芸術家や作家が多いので、ついそう思ってしまうだけで、実際はこういうものかもしれない、とも思います。

そういえば、ダ・ヴィンチは他の作品をすべて売ってしまったのに「モナリザ」だけは手元に置き続け、手直しや書き直しなど、ずっと手を加え続けていました。
そう考えると「モナリザ」も遺作と言えるのかもしれません。
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